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2012
06/19

管轄の問題と弁護士費用

裁判は、自分の好きな裁判所に自由に申し立てられるわけではありません。

どこの裁判所に裁判を申し立てなければならないかは法律上のルールがあります。

これを法律用語で「管轄」といいます。

 

法律相談でよく聞く管轄の問題は、「離婚調停」「離婚裁判」の管轄です。

 

「離婚調停」は、原則として「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所」に申し立てる必要があります。

(家事審判規則129条、今後施行される家事事件手続法245条)

 

「離婚裁判」は、原則として「当該訴えに係る身分関係の当事者(注意:つまり夫または妻)が普通裁判籍を有する地(中略)を管轄する家庭裁判所」に申し立てる必要があります。

(人事訴訟法4条)

 

東京で生活していた夫婦の仲が悪くなり、妻が富山の実家に戻って離婚を考えているとします。

「離婚調停」をする場合は、東京の家庭裁判所に申し立てる必要があります。

「離婚裁判」をする場合は、東京の家庭裁判所のみならず、富山の家庭裁判所でも申し立てることができます。

(注意:離婚の場合、原則として、裁判の前に調停をしなければならないルールがあります。)

 

ここで気をつけてもらいたいのは、たとえば上記の妻が、富山の弁護士に東京の家庭裁判所での離婚調停を依頼した場合の弁護士費用です。

 

富山の弁護士が県外(特に遠方の)裁判所に出張することになると、日当等がかかり、弁護士費用は通常以上に高額となってしまいます。

 

ですので、管轄の問題は、弁護士費用の点から、富山の弁護士に依頼するのがよいのか、重要な判断要素になります。

 

ただし、管轄には例外もあるので、まずは近くの弁護士に相談した上で、どこの弁護士に依頼するのがよいかを決めるべきです。

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